思い返すと

まだあたしが新潟にいた頃、町の中心部で横田めぐみさんのご両親が何度も署名を求める運動をしていた。彼女が拉致をされた場所は新潟付属小中学校があるすぐ近く。海の近くだから、新潟市民は誰もが場所を知っている。拉致現場を歩いたことも数回ある。


見るたびにかわいそうで切なくて、署名をした時に「みつかるといいな」って思ったのを覚えている。その頃早紀江さんの御髪はあんなに白くなかったと思う。あたしがイギリスに来てからめぐみさんの拉致を北朝鮮が認めて、数人の被害者が帰国できた。


イギリスに新聞にも大きく写真付きで載っていた気がする。でもめぐみさんの姿はなかったし、ネットで見ることのできたご両親の姿は痛々しくって本当にかわいそうだった。


署名運動をしていた当時は日本政府さえもまともに取り合っていなかったのに、先日アメリカの議会で発言することができるほど注目されているし、ブッシュ大統領にも面会ができて、拉致解決に向けて努力をしてくれるような雰囲気もある。


あの小さな街角で何度も必死に訴えていた姿を思い浮かべると、おもわず「頑張ったね、あの活動は無駄じゃなかったね」と声をかけたくなる。(ブッシュが役にたつのかどうかは疑問ですがね)


よかったね、と声をかけられる様な結果はまだでていないし、数年のうちにめぐみさんが帰ってくることができるかどうかもわからない。もしかしたらすごく無作法な言葉であるかもしれないけれど、あの新潟の街角で新潟市民以外が全然拉致を知らなかった頃の横田さんの活動を見ている私は、こう思ってしまうのです。


生きていると信じて、会わせてあげたいよ。