思い出すこと
帰国が近づいて、もうイギリスに戻ってこないんだよ、と自分に言い聞かせながら毎日を過ごしています。それでも、また9月には戻ってくるような気がしてしまう。
最近よく思うのは4年前のこと。どんな気持ちで、どんなことがあって、どんな事を考えながらイギリスに来たのかを、思い出の品と共に思い出すのです。
丁度4年前もW杯があったからでしょうかね。新潟にはイングランドが決勝トーナメントでやってきました。その時にほんの5分程話をしたイギリス人姉弟に、とってもよくしてもらいました。
メールアドレスを交換して、「イギリスに来るときは私の家に泊まっていけばいいわ」と言ってくれた。その言葉に甘えて、初めての渡英で、このお姉ちゃんAnnのフラットに泊めてもらったのでした。
たった5分の会話だったのに、日本人の娘を自宅に泊めてくれる優しいイギリス人。たった5分の会話なのに、物怖じせず、というかあつかましくも泊めてもらう日本人。ふむ、バランスがとれているではないか。
あの日、2002年8月1日。ロンドンヒースロー空港に着いてすぐ、教えられたAnnの携帯に電話を入れる。それから、教えられた通りに地下鉄に乗り、テニスで有名なウィンブルドンまで行く。改札をでると、そこには車にのったAnnが。
ハグして、車に乗り込んで、おうちまで。すると彼女は言うのです。
「彼氏がサプライズで旅行に連れてってくれるって言うの。今から行かなくちゃだから、ごめん、好きに過ごしてね!後のことはリチャード(弟)に頼んであるから!」
ほー、旅行ですか。いいわね、どこ?車で一泊旅行位かな?
「スペインなの。行ってくるわ〜♪」
へ?!
「あ、そうそう、息子のチャーリーは、チャーリーのパパがサプライズでフロリダのディズニーに連れていったからいないのよ」
ほ、ほう。ちょっと見えてきた。彼女は結婚していたかしていないかわからないけれど、息子がいて(知らなかった)、今は別の彼氏がいる、と。で、今からスペインに行くから、私の面倒(3日間)はリチャードが見てくれる、とな。
結構むちゃくちゃです。この時、イギリス初日ってだけあって、欧州内の旅行をこんなに簡単に(=安く)できると知らなかったしね。
カギを渡され、ベットルームを与えられ、Annがあわただしく去ってから30分ほどしたらリチャードがやってきた!ハグハグ、で、何したい?と聞かれたので
「ロンドン観光!」
この時まで気づかなかったのだけれど、リチャードは片足が不自由で、少し引きずって歩いていた。ちょっと歩いた場所にとめてあった彼のプジョー(車)に乗って、ロンドン中心地へGO!
オックスフォードサーカス、ビックベン、タワーブリッジ、バッキンガム宮殿、ネルソン像などを車で見てまわり、まるで映画の様な風景に感動と感激しっぱなしだった。
煙を吹くプジョーのエンジンに二人で苦笑いしながらも、すっごく楽しかったっけなぁ。ガソリンスタンドを見つけては冷却水を足し(もれていたらしい)、隣を走る車という車に
「おい、お前の車煙はいているぞ!」と言われ、
「わかってるよ〜!」と、二人で笑いながら返す。
カムデンマーケットに行って、60sスタイルのスーツをリチャードに言われてあたしが着てみて、面白くって写真を撮ったり、Annの家で二人でスパゲッティを作って食べたり。
リチャードに会って早々に「Really」の発音を直されたこと、トラッシュ(米)はラビッシュ(英)と表現すると気づいたり(ごみのことです)、リチャードの友人がフランスからユーロスターで来るから一緒に駅まで迎えに行ってスピタルフィールズマーケットに一緒に行ったこととか
2日目のお夕飯に「フィッシュ&チップス」をリクエストして、食べてみたらただの魚と芋のフライだと実感しただとか
もう、4年も前なんだな。
こんなことを思い出したのも、この前荷造り中に「London A to Z」という、ロンドンの地図(全部の道路が乗っている)をあげるか捨てるか持って帰るかで悩んでいたから。あげようかな、って思って、最後にパラパラとめくっていたら、一番最後のページに、メッセージが書いてあったんだ。
To Pinoura (ココは本名でしたが) Welcome to London! 1.8.2002 From Richard
そうだった。あの日、冷却水を足しに寄ったガソリンスタンドでリチャードが購入して、あたしにくれたこの地図帳。思いのほか便利で、4年間で何度も何度も使ったっけ。
これはあげられないなぁ、と、ちょっと愛しくなって、日本に送るダンボールに詰め込みました。
日本に帰る前に、AnnとRichardにもう一度メールを送ろう。まだ卒業は確定していないから「卒業したよ!」って報告はできないけれどね。感謝の気持ちを伝えなくっちゃ。
今日の写真:
コレはその年のクリスマスにリチャードと撮ったもの。12月23日〜26日の朝までAnnのおばあちゃん宅でクリスマスにJoinさせてもらったんだ。