平和を願う歌

日本から来ていた友人が昨日パリに出発したのだけれど、彼女がいた間、何度か10年前を思い出しながら一緒に当時の合唱曲を歌った。


その後ふと思ってネットでそれらの合唱曲の検索をしたらピアノ伴奏と合唱曲ならばそれぞれのパートの音も一緒に流れるサイトをみつけた。歌詞もちゃんと表示されている。私たちがさんざん歌った曲なども出てきて、さっき一人で思い出に浸りながら聞いていたのだけれど、当時好きだった合唱曲(合唱の世界でも流行っていたのですが)は平成3年(1991年)に発表された曲がいくつかあり、そのほとんどが平和を訴える曲だった。


1991年前後といえば、冷戦の終結ベルリンの壁が崩れ、ソ連が解体し、そして湾岸戦争の頃でもある。岩間芳樹作詞、新実徳英作曲の「聞こえる」という歌(http://momo-mid.com/mu_title/kikoeru.htm)は天安門事件湾岸戦争ドイツ統一、環境問題を一つの歌に籠めた名作で、歌詞をこんなにも素直にメロディにのせて感情を込めて歌える歌というのはそう頻繁に見つけられるものではない。大好きな大好きな曲の一つ。ちなみに、合唱の世界では、コンクールでこれを歌うのはお勧めできないとされ、その理由は「あまりに素晴らしい曲で、あまりに歌われすぎていて、よっぽど素晴らしく歌わないと審査員も聴きすぎているのでいい評価をもらえない」というもの。



もう一つ、作曲鶴見正夫、作詞荻久保和明の In Terra Pax 地に平和を と題された合唱曲集がある。( http://momo-mid.com/mu_title/in_terra_pax.htm)この曲集も、すごい。
1曲目の「知った」はベトナム戦争の歌。'父を、母を、祖国を「返せ」'と何十回も繰り返すフレーズ、戦争を何も知らない現代の少年がその真実を知る歌で、本当に恐ろしく悲しい歌。
2曲目の「Oh My Soldier」は戦争で無くなった無数の若者の歌。'ごめんなさいお母さん。欲しい命がもう一つ。生きたい、戦争の無い国でもう一度。生きたい、ごめんなさいお母さん、この命、もう一度…’と歌うの。初めて聞いたときの衝撃といったら。
3曲目の「花をさがす少女」初めて歌を聴いて鳥肌が立ったのはこの曲だったと思う。歌詞のせつなさと情景に合い過ぎる曲調の変化、恐いくらい。
4曲目の「ほうけた母の子守唄」。題名からして恐いのだが、やはり母の怒りと怨念を歌っている。’消えた子供に繰り返す ほうけた母の子守唄 ねんねこ寝なさい はよ寝なさい’中学生がこれを歌うにはすごい努力が必要だろうと思う。
5曲目、打って変わって春に花が咲いたような嬉しい感謝の気持ち一杯の「In Terra Pax」、これ、歌いながら私泣きそうになるのだ。もう、ぶわ〜〜っと感情が高まってしまうのね。


歌いながら泣きそうになる曲って、もう一つある。「僕がここに」という、まどみちおさんの詩(http://www.dowa-ya.co.jp/books_data/poem/a70.htm)に新潟大学の先生が私達の為に曲をつけてくれた。前奏を初めて聴いた時、なぜか涙がぐわ〜〜っとこみ上げてきて歌うために堪えるのが大変だった。ピアノ付きで歌うといつもこうだから、ちょっと大変だったのを憶えている。この曲は関東大会で重唱でも歌ったので思い出深い。これも幸せと平和な未来にに繋がる曲なの。


これら曲を思い出し、ききながら自分がなぜイギリスに来たのか、なぜ国際関係学を勉強しているのかを思い出せた。歌の道をやめてこちらにきたわけだけれど、それでもまだつづいているのね。歌に感謝。